あきる野市 東部図書館 エル
 
 
東京都あきる野市にオープンした「あきる野市東部図書館 エル」の敷地周辺は閑静な住宅街であり、ほとんどの建物には屋根があります。よって、四角い建築ではなく、10mの高さ制限内で、おおらかな屋根の建築形態としています。

おおらかな屋根の下の空間は、緩やかな曲線の天井、ガラス間仕切り壁、吹抜けにより、各ゾーンを視覚的につなげています。内装に関しては、図書館の主役はあくまで「利用者」と「本」です。

デザインをする上で気をつけることは、機能を重視するあまり、建築、家具が複雑になりすぎないようにすることです。 ここでは、デコラヴィータの単一素材でいくつかの機能をまとめ、流れるような一体感を表現しました。書架の側板やカウンター、ベンチなどいろいろなところにみられます。

また内側から見た外部…窓から見える風景というのも重要な要素です。図書館の南側には公園があります。公園の緑を借景にしたことで、まるで緑のスクリーン…森の中で読書をしているような、落ち着いた雰囲気の空間となるよう配慮しています。

設計・デザインをするものとして、施主様はもちろんのことそれを利用する皆様が満足していただけるようなデザインをすること、そして新しい何かを生み出すことを目標にしていきたいと思います。

(株)岡田新一設計事務所
岡田新一、岡田弘子
柳瀬寛夫、宇佐美卓雄、小林信策
東京都文京区春日1-10-1
TEL:03-5689-8711
http://www.os-a.co.jp/

あきる野市 東部図書館 エル
あきる野市野辺39-27 TEL:042-550-5959

「デコラヴィータ」使用品番
DC-888T(ベンチ)
DC-8501T(2F返却台)
DC-9001T(1F書架側板)
DC-N3132T(1FCD試聴席等)
DC-N4402T(1F貸出カウンター、レファレンスカウンター)
DC-N6401T(2F返却台、2F書架)






 



  木工職人から見たデコラヴィータ
メラミン化粧ソリッドパネル「デコラヴィータ」は、その素材特性(高耐水性、耐衝撃性)から主に公共施設のトイレブース等に用いられることが多く、ともすればトイレブース専用のパネルと思われることが多い。確かに、ただの“平たい板”であれば用途も限定されてしまうであろう。
「デコラヴィータ」は“ただの平たい板”ではない。曲げ加工が可能であり、それは単体で自立可能な物となり得る。
あきる野市東部図書館「エル」の什器納入事例を振り返り、曲げ加工・木工加工の特徴をあげてみた。

 
 

【1Fレファレンスカウンター】
前板部は1枚の板に“垂直方向”と、壁際の棚板へと繋がる“水平方向”の曲げ加工を施したもの。 標準曲げ仕様にはない異方向曲げであり、本物件がきっかけで試みたものである。
 
 

【1Fベンチ】
“曲げ”の形状は標準形ではあるが、部材の加工は熟練を要するものとなっている。“ただの平板”であれば数値制御の切削加工機で簡単に(これもノウハウが必要だが)加工が出来るが、立体的になった曲げ部材はおいそれと加工の出来る代物ではない。デコラヴィータの材料特性を熟知した木工職人のなせる技である。
 
 

【1F検索台】
天板部(水平部)から幕板部(垂直部)に移行するにつれ幅がせまくなる設計となっているが、この部分についても図面化が困難な箇所であり、実物サンプルでの形状確認をしつつ製作を進めた。 自動切削機と手仕事の組み合わせによる加工だが、人手を掛けた割合が高い。
【1F記載台】
部材同士の接続は、小口に特殊なピンを挿入し接着剤を併用しつないでいる。板厚のバラつきと接続後の納まりを考慮し接続部の加工を行なう。下穴の位置出し、穴を垂直にあける技術が求められる。


 
 

【2F返却カウンター】
図書の返却部の天板は図面化するのも困難な形状のもの。加工については自動切削機と手仕事を組み合わせて対応した。
 
 
以上、本物件におけるデコラヴィータの加工上の特長をあげてみた。
加工性という面では、けっして加工しやすい材料ではないが、材料特性の基本を把握し経験を重ねる事により加工技術は更に高まると考える。 今後も更に高まる設計・デザイナーからのテーマに対応出来るよう加工技術の向上に努めていきたい。